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Humanitude ユマニチュード メモ

ユマニチュードという革命」「ユマニチュード認知症ケア最前線」の二冊との出会い。

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僕の両親は88と85になります。時々記憶が曖昧になったり思い込みに記憶が歪んだりすることはありますが、それによって日常生活に大きなトラブルが生じる状態ではなく、認知症と一般に言われる状況ではありません。
この二冊の本を読むきっかけとなったのは2018年7月号の文芸春秋の「理想の介護と最期」特集の記事、フランス発「奇跡の認知症ケア技術」を読んだのがきっかけです。この記事には、人とコミュニケーションを円滑に取ろうとするときにポイントとなる接触法があることを示唆していました。どちらかというと他人とコミュニケーションをとることが苦手な僕は、相手が親であってもなんとなくぎこちないやりとり、特に母の虚言妄言を続けざまに聴くことがあって少し心配になっていたのです。感情的な対立があっても、歩行が思うままにならない老親を放り出して逃げるわけにもいきません。理屈で説得できる父に比べて、感情的で思いこみが強い母が頑なに通院を拒否したり運動を拒否したりとう局面で自分はどう振舞えばよいのか。その指針を求めていた時に見つけたのがこの記事だったのです。ひょっとすると、これは認知症であるかどうかに関係なく、柔軟性を失いつつなる人間関係を抱えながらも暮らしていかなければならない老々介護の場面でも力になるのではないか。そういう思いで本を読み進みました。

ユマニチュードとは何か
ヒューマン(人間の)アティチュード(態度)という言葉からつくられた名称のユマニチュードは、他者とのコミュニケーションをとる方法、他者と信頼関係を築く方法のことです。人が他者とコミュニケーションをとる目的は平和的友好的とは限りません。時には攻撃目的であったり、騙そうとする目的だったり、悪意を内包するような場合がありえます。友好的でも悪意を持ったものでもない、ビジネスライクなコミュニケーションもあります。リラックスしたものもあれば、強い緊張を伴ったものもあります。そのような目的や状況は抜きにして、人間関係を構築しなければならない時に、ユマニチュードはその技術的な方法を示唆するものという側面をもっているようです(もちろん、ユマニチュードの目的は遮断的な人間関係を修復し友好的なものにしていく事にあるのですが)。アントニオダマシオという脳科学者がいますが、ダマシオの脳の働きに関する知見はとても興味深いのですが、その中に「感情は後から発生する」という話があります。怖いから脂汗をかくのではなく、脂汗をかくから怖いと感じるという脳の働きかたを指摘した言葉です。信頼する心が芽生えたから手を触れることができるだけでなく、手を触れることが信頼する心を作り出すこともできるという話です。ユマニチュードの本を読んでいくうちに、なんとなくダマシオの事を思い出していたら、そのダマシオの話が文中に出てきました。

ユマニチュードの技術はまず三つあり、ひとつめは「見つめること」視覚を使ったコンタクトの方法、「話す」聴覚を使ったコンタクトの方法、「触れる」触覚を使ったコンタクトの方法があるという説明が出てきます。二冊の本を読み通して感じるのですが、ユマニチュードの方法に従えば看護士が悪意を持って接近してきたとしてもケアをされる人は親近感を持って接しようとするというケースが生じてしまうのではないかという疑問が湧いてきました。そうでなければ、二冊の本を通読したにもかかわらず、話がもっと具体的実際的な方法に踏み込んでこない理由がわかりません。ユマニチュードを習得するには介護職看護職である人が長期にわたる研修を受ける必要があるようですが、そういう意味があれば頷けることだなと納得します。目的を誤って使ってはいけない方法であると思います。
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後日、別の書籍を取り寄せてみたところ、より具体的で実践的な内容が紹介されていました。これなら、自分が母と対話するときにも使えるなと思える内容です。図もたくさん使われていて実際の場面で役に立つと感じました。もし、購入されるならこちらをお勧めします。
実践的ユマニチュード入門


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さて、ちょっと重たい話はここまでにしておいて、腰の痛い我が身をどっこらしょと動かして、食器の片づけをしてから母の話を(同じ話が出てくるのですが)聴いてから、風呂に水を張る・・・ちょっと閉塞感を感じる毎日に、ユマニチュードは役に立つように強く感じたのです。特にユマニチュードには前述の三つの技術のほかに、「立つこと」「歩くこと」を自立の礎として使い、それを目指すというポイントがありますが(4本の柱)、それが今の母にはとても大切なのではないかと感じていたこともあって、しっかりユマニチュードの考え方を分かりたいと思いました。

通常のコミュニケーションの中で
ユマニチュードは、人を人としてコミュニケーションをとる方法です。コミュニケーションは、対等性と共感性や自立性を尊重したものであることを前提として、ケアすることを目的としたものです。その目的のもとに、「見る」時にはどう見るべきか。「語り聞く」時にはどう語り聞くべきか。「触れる」時にはどう触れるべきかを説いています(残念ながらその方法の核心は書物では紹介されないかもしれませんが、その精神を知ることができる例はたくさん書かれています)。その中で、今の僕に役に立ったのは、しっかりと見るということです。相手の目をしっかり正面から覗き込むと、相手の顔をじっくりと見ることができて、まずは自分が感じている父や母との距離が近くなったように感じたのです。また、自分自身の気持ちの変化のなせる業か、覗き込むことによって次の言葉が自然と出てくる効果があるように思います。いつもだと言葉を飲み込んでしまい自分の部屋に戻ってしまう場面でも、父母の目を覗くことで相手もこちらをよく見ているのがわかります。さらに、自分の行動の実況中継も認知力が落ちている相手には有効だと分かりました。足の爪を切ってあげるときも、まずは先端を少しだけ切りますよとか、ここでやすりを使いますといった実況中継は痛いことをされるのではないかという恐れをかなり軽減するように思います。あまり頼まれなかった爪切りを要望されるようになりました。
問題は、母の歩行、散歩を促すことです。焦らず、自分から散歩に出ることに導いていけるとよいなと考えているところです。 

※「ユマニチュードという革命」「ユマニチュード認知症ケア最前線」の二冊はユマニチュードの精神とそれが日本にどう紹介されてきたかを知るのによいですkindle版があります。「ユマニチュード入門(医学書院)」「家族のためのユマニチュード(誠文堂新光社)」は、具体的にどう動いたらよいか等図を交えて実践的な内容になっています。こちらは紙の本です。

ユマニチュードは介護職の皆さんの中では結構研修されているような気がしますが、まだユマニチュードに取り組んでいると宣しているホームはなかなか近くには見当たりません。探してみてください。
下のリンクですが、老人ホームのマッチング、紹介のサービスを提供しているところです。ユマニチュードに関する説明がサイト内にあります。




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